初心者でもわかるように専門用語少なめで、スキー場に存在するでこぼこの斜面の攻略法をまとめました。
今回はスキー場でありがちなシチュエーション「でこぼこ斜面」の滑り方について見ていきましょう。
スキー場でスキーを楽しんでいるときに突如として現れる「でこぼこ」した斜面…。スキー初心者の方ならなおさら、滑りにくいし難しいし嫌ですよね?
大概のスキー場では夜間から朝にかけて圧雪者を使って綺麗な「滑りやすい」バーンを作っているんですが、それでも、朝から初心者から上級者まで色々なスキーヤーやスノーボーダーが滑ったりして徐々にゲレンデコンディション悪くなっていきます。
グルーミングした後の「整地」との比較で、一般的に「不整地」とも呼ばれているのですが、どうすればこの「でこぼこ斜面」を攻略することが出来るでしょうか?今回はそんな不安定な足場での滑り方について解説していきます。
後半では、多くのスキーヤーを悩ますコブの滑り方についても見ていきましょう!
目次
なんでスキー場にでこぼこ斜面が出来るの?
スキーは雪を削るスポーツです。止まるときやターンするときには特に雪が大きく削れてでこぼことした斜面が出来上がります。特に春先や暖かいシーズンは雪が柔らかいので掘れやすいんですね。多くのスキーヤーが滑った後の午後や、斜面が削れやすい春スキーなどでは特にでこぼこ斜面が発生しやすいです。
また、レベルの違うスキーヤーがそれぞれ好きに滑ることによって不規則なバーンコンディションに出くわすことが多いんですよね。
こういう凹凸の多い斜面てハイスピードのまま油断して突っ込むと吹っ飛ばされます。スキーヤーにとって注意が必要なシチュエーションですね。
そして、上級者スキーヤーが同じラインを滑って出来た規則的なでこぼこが続く「コブ」なんかは鬼門ですよね。僕も初心者の頃から、スキー検定を受け始めたころまで、コブに出くわすと足が震えて全身カッチカチになって動けなくなる典型的な「コブ苦手スキーヤー」でした…。
今回は、ゲレンデの「でこぼこ」をざっくり3パターンに分けて、それぞれの斜面の滑り方を見ていきたいと思います。それでは、でこぼこ攻略講座、スタートです!
荒れたでこぼこ斜面「ナチュラルバーン」
一般的にナチュラルバーンと言われているバーンコンディションのことです。多くのスキーヤー&スノーボーダーが早朝から滑った結果、午後になってボコボコと荒れたような斜面を言います。小さな規模の凹凸が点在しているような斜面ですね。
スキーの大会などでは、デラパージュと言って、斜面横幅いっぱいに広がったスキーヤーが板を横向きにして下にずるずる滑ってバーンコンディションを整えます。横滑りみたいな感じですね。
ただ、スキー検定などでは基本的には荒れた「ナチュラルバーン」の中での演技が求められます。どうすれば上手く滑ることが出来るでしょう…?
いくつかポイントがあるので解説していこうと思います!
ポジションを要チェック!内倒にも要注意
まずは、どんな斜面を滑るにしても必要な「ポジション感覚」から。「ポジション」って用語を使うと、初心者スキーヤーの方からすると専門的で、ちょっと概念ぽく感じてしまうと思うのですが割と簡単です。
ひと言で言うと、①背中を曲げる角度とスネの角度が平行で、②頭と足を結んだ線が斜面と直角になる姿勢のことを言います。
緩斜面でも急斜面でも、平らでもデコボコでも、このポジションを維持することを徹底してください。正しいポジションが一度崩れるとバランスが悪くなり、滑りが乱れたり、最悪の場合は転倒につながります。
また、内倒と言って体がまっすぐターンの内側に傾いている滑りもバランスを崩しやすいんですね。体のラインが弓なりになるような適度な「外向傾」で滑るのが理想なんです。外向傾ってなんだよ!という方はスキーの正しい姿勢「外向傾」を完全攻略せよ!【初心者必見!イラスト講義】をご覧ください。
とにかく!正しいポジションと外向傾の維持を真っ先に意識しましょう。これは整地で滑る場合でも同じです。スキーの正しい姿勢が出来る・出来ないでは、滑りの安定感が桁違いに変わってきますので、ぜひマスターしてくださいね!
でこぼこ斜面で後傾は一発アウト
でこぼこ斜面を攻略するためには、前後のバランスがかなり大事になってきます。
スキーの世界では、ポジション後ろ寄りに傾くことを「後傾」と呼び、前寄りに傾斜することを「前傾」と呼んでいます。この中でも後傾はNGとされています。前傾に関しても、前に傾きすぎてしまう「前傾過多」がダメとされる場合もあるんですが、基本的に後傾よりはマシ。
では、後傾の何がダメなのか?それはバランスを崩すもっとも大きな原因だからです。スキーがぐんぐん前に向かって進んでいくのに体が付いていけないと、重心が後ろに傾いて後ろ方向にバタンッと倒れてしまうんですね。
特に今回は、でこぼこ斜面という足を取られやすいコンディションだからこそ、後傾は絶対的にNGなんです。後傾にならないためには母指球(親指の第一関節まで)に力を入れるよう意識すると良いです!
この「前後のバランス感覚」を大事にしてください。つまり、背中のラインを頑張ってキープしてください!ということです。
足首と膝の関節に遊びを持たせよう
関節を「柔らかく」。これが結構大事。足をピンと突っ張ったままだと凹凸の多い斜面に対応できません。
初心者の方に多いのですが、でこぼこ斜面に対する恐怖心のあまりガチガチに力んで足をピンと張ったまま滑ると凹凸の衝撃に負けてぶっ飛びます。
つまり、ボコボコした斜面からくる反発をうまく吸収することが必要なんです。具体的には、足首の関節と膝の関節、そして股関節。この3点を柔らかくする意識を持ちましょう。関節を柔らかくすることでスキーを斜面にピタッとくっ付けて滑ることが可能になり、安定感が大幅に増します。
綺麗なでこぼこ斜面「ウェーブ」
スキー場にたまにあるんですが、綺麗にでこぼこした斜面をウェーブと呼びます。横から見たときに一定の間隔で曲線状になっている斜面のことですね。
僕もよく遊び?でウェーブに入ってみるのですが、整地されている分滑りやすいです。つまり、そこまで難易度の高い斜面ではありません。ただ、よく気を付けないと斜面の凹凸にターンのタイミングが合わずバランスの崩れにつながります。
基本的にはポジションと後傾NG、関節のゆるみと、ナチュラルバーンを滑る上での注意点を意識してもらえばOKなのですが、追加でもう1つ意識していただきたいことがあります。
体の上下の伸縮性を意識
ウェーブでは、上下方向の伸縮を意識しましょう。頭と足元を結んだ線が長くなったり短くなったりする感じです。凹凸の一番上に来たときに体の線が最も短くなり(=縮む)、凹凸の一番下に来たときに最も長くなる(伸びる)イメージです。
これを行うためには関節の柔らかさが必要不可欠!関節の曲げをクッション代わりにして衝撃に耐えることができるんです。
つまり、凹凸が大きくなるほど、大きく体を伸縮させる必要があります。大きな凹凸ほど衝撃が強いので、大きく屈伸することで衝撃を和らげることができるってメカニズムですね♪
もう1つ付け加えると、ウェーブで一番危ないポイントって、凸の部分なんです。ここを攻略するには、凸を越えるときにスキーが斜面の方向に対して正対しているのが理想。正しいポジションのまま上下にギュッと潰した感じですね。正対したままトップを越えるとバランスの崩れもなくなるでしょう。
綺麗なでこぼこ斜面「コブ」
はい、来ましたね。スキーヤーにとって一番厄介な斜面「コブ」です。ある程度上の世代のベテランの方々は「ギャップ」と呼びまして、なんかジェネレーションギャップを感じる瞬間でもあります…。
右左右左と、規則的に凹凸が連続しているような斜面です。コブが大きくなって凹の部分がえぐれると「深い」、逆は「浅い」と呼ばれていますが、特に深いコブが出来ているような斜面状況は要注意です。初心者スキーヤー厳禁です。
とはいえ、「コブ」はスキー検定1級にもある種目ですし、スキーヤーである限り攻略必須です。ナチュラルバーンやウェーブ同様に、ポジションと前後バランス、関節のゆるみは必要不可欠なので常に意識しておきましょう!
横滑りの連続でOK
初心者の方は特に気構えてしまうものですが、基本的には横滑りをするだけでOKです。
斜面を上から見たときに「コブ山の下側に当たる部分」を、スキー板を真横に向けたままエッジでなぞるように、ズルズル下方向に降りていく感じです。そして次のコブにぶつかった瞬間にスキーの方向を180度くるっと回転させ、またズルズル降りていきます。
この、クルっと方向を変える技術をピボットターンと呼ぶのですが、自分の足元を軸にして板を真横に振るイメージでやるとわかりやすいです。
この動きをひたすら連続で繰り返せば下まで安全に降りていくことができます!
ストックをできるだけ遠くに突く
コブで崩しやすい「バランス」を維持するために必要なこと。それは、ストックをコブの下の方=自分から見て出来るだけ遠い位置に突くこと。
ストックをコブの上の方=自分の足元に突くと、体が後ろに置いて行かれます。ちょっとだけ想像してみていただきたいのですが、ストックは足元に刺さっているのに、スキーがどんどん先に滑って行くとどうなりますか?はい、体が後方に取り残されてしまうんですね。こうなったらもう大変です。転倒あるのみです。
じゃあどうする?逆のことをやってください。つまり、出来るだけ自分の体から離れている先の方にストックを突くことを心がければ体の遅れが改善されます。適度な前傾姿勢を保つことができ、安定感が圧倒的に変わってきますよ!
かかとで雪を圧縮&ひざで衝撃を吸収
ここでは体の動かし方を見ていきましょう。
まずコブで意識してほしいのは、かかとで滑る感覚です。ひとつめのコブをズルズル滑って行き、次のコブにスキーがコツンと当たったタイミングで、かかとに体重を乗せて雪を踏み込みましょう。かかとで踏み込む動作にはスピードを落とす作用があります。
そしてもうひとつ大事なこと!踏み込むと同時に、体を上下方向に圧縮します。
つまり、足首・ひざ・股関節を曲げる角度を深くして上下に縮んでください。ただし、前後バランスが崩れないように注意です!感覚としては、膝で衝撃を吸収するようなイメージですね。
この動作が出来るかどうかでスピードコントロールができるかどうかが格段に変わってきます。ぜひ以上のことを意識して練習してみてください!
まとめ
ひと口にスキー場の「でこぼこ斜面」といってもナチュラルバーン、ウェーブ、コブなどさまざまなシチュエーションが存在します。
どんなでこぼこ斜面でも、正しいポジションを意識して、後傾にならないように気を付けて、関節を柔らかく使うことで格段に滑りやすくなります。そして、凹凸が深くなるほどに、体を上下に伸縮させるように滑るとスピードコントロールが出来てバランスも崩れにくくなります。
まずはここで解説していることを元に、でこぼこ斜面に挑んでみてください!あなたのスキー人生がもっともっと充実するよう祈っています!