
スキーの元インストラクターがアイスバーンの滑り方についてまとめました。
スキーをしていると嫌な雪質というのが何パターンか存在すると思います。良く出くわすのが春のビチャビチャ雪、ゲレンデ営業終了間近のボコボコ雪、そして今回ご紹介する「アイスバーン」です。
ビシッとグルーミングされた綺麗なゲレンデなら気持ちよく滑れるようになった初心者スキーヤーが「俺意外と滑れるかも…!」と思って勇気をもって上級コースに行ったら、ガリガリに固まったスケートリンクのようなアイスバーンだったー…みたいな状況が結構あると思います。
「これ転んだらやばくね?下まで真っ逆さまに落ちていくんじゃね…?」っていう絶望で足もガクガク震えて呆然としますよね…。
僕もスキーを始めたてでやる気に満ちているときに何度もアイスバーンに絶望しました…。
正直、特に正解の滑り方というのはありませんし攻略法は何パターンもありますが、とにかく初心者スキーヤーが安全に下まで滑り降りるために意識するべきポイントをまとめました。
目次
そもそもアイスバーンとは?

滑り方の前に、一旦「アイスバーン」の定義を確認しておきましょう。アイスバーンとは、雪面が凍り、固く締まったゲレンデ状態を指します。スキー場は寒暖差が激しいです。ギラギラと太陽が照り付けてビチャビチャに溶けた日の夜、気温が一気に下がり雪が急激に冷やされた結果、水→氷になりアイスバーンが生まれます。
極論、スケートリンクです。ツルツルに凍った状態なのでスキーをするにしてもスピードも出て止まりにくく、かなりのスキー技術が必要となるんです。
初心者スキーヤーにとっては脅威であり、それゆえに危険性もあります。例えば、夜のうちにアイスバーンになり、そのあと雪が降って薄~く雪が積もった場合、見た目では普通の滑りやすそうなゲレンデなのですが、薄く積もった雪をどけるとすぐに氷が現れて「だまされた!」と思った時にはもう遅く、下まで滑り降りるしかなかったり…。初心者には特に注意が必要なバーン状況です。
では、初心者でもできる安全な滑り方を見ていきましょう。
アイスバーンでは絶対にポジションを固定

スキーになると出てくるこのポジションという単語。「はい出た~。またポジションの話~」と思う方もいると思いますが、アイスバーンでは絶対的にポジションが大事なんです。
ポジションってなに?という方はスキーの基本姿勢「ポジション」を徹底図解【最重要!必死で学べ】をご覧ください!
簡単に言うと、正しいポジションとは、頭とおしり・かかとを結んだラインが一直線になり、かつ斜面に対して垂直である位置を指します。このポジションを常に保てるようにしてください!
では、アイスバーンではポジションをどうするのか?それは、「固定」です。
車を運転していて凍った道に出るとブレーキが効かなくなるのと同様に、スキーでもエッジが効きにくくなります。つまり、止まりにくいわけですね。
アイスバーンでは、普通に滑っていても通常の雪よりもスキーだけどんどん前へ進んでいこうとします。そうすると体が付いていけずバランスを崩して転倒…。という流れになります。
少なくとも、体が後ろになる=遅れるのは阻止しましょう。どちらかというと前寄りのポジションの方がスキーの操作をしやすくなります。スネをブーツに押し付けるように意識しましょう!
この、「前へ前へ進もうとするスキーに体ごとついていく意識」を常に持ち続けることが大切です。
そしてもうひとつのポイント!いつもよりも少しだけ体勢を低くして、体とスキー板との距離を近づける意識を持ちましょう。格段とスキー板を操作しやすくなり、安定感も増してきますよ!
アイスバーンでは両脚荷重を意識しよう

通常、スキーでは「外脚荷重」を意識します。ただし、アイスバーンでは「安定感」が一番大事!片足に体重を乗せすぎず、両脚で滑る意識を持ちましょう。
特に、日ごろからチューンアップをしておらず、板のエッジが尖っていない(丸まっている)場合は要注意です!エッジの食い込みが浅くなってしまい、スピードコントロールができないのはもとより、板がずれてスリップにも繋がってしまいます。
なので、内脚にもしっかり体重を乗せて滑るようにしてください。滑りの安定感が変わってくるはずですよ!
根本的に、エッジが尖っている方がアイスバーンにも食い込み滑りやすくなります。スキーヤーにとっては普段の道具の手入れも大事なので、余裕があればエッジを研いでからアイスバーンに挑みましょう。
アイスバーンでは「横滑り」が鉄板

ポジションとか荷重とか頭では理解できるけど難しい!という方も多いと思います。そんな時は「横滑り」が最も安全で安心です。
「横滑り」とは、スキー板を進行方向に対して横に向けたまま下方向へズズズ~と降りていく滑り方です。
この滑り方が安全だという理由は、横滑りは体の動きが少ないためポジションが崩れにくいことと、スキーが下方向へ落下する力にあらがわないため非常に対応しやすいからです。
スキー板は地面に対して平行を維持したまま板の角度を少しずつ緩めて(エッジを外して)ズズズっと落ちていきましょう。慣れてくると、斜めや後ろ方向にもスムーズに移動できるようになり、普通に滑っているのと同じような感覚で滑ることができます!
20-21シーズンで廃止になりましたが、横滑りはスキー検定1級にもあった種目なのでスキーヤーにとって最も大事なスキルのひとつです。ぜひマスターしましょう!本格的に横滑りを極めたいスキーヤーの皆さまは【徹底図解】スキー検定1級合格講座(種目・合格のコツ・裏技 総まとめ)をご覧ください!
まとめ
アイスバーンは攻略が難しく、だからこそ危険も伴います。初心者の方はとにかく怪我をしないように安全に滑り降りることを最優先に考えましょう。具体的には以下のことを意識してアイスバーンを滑ってみてくださいね。
・ポジションは前寄りに、低い体勢をキープする
・両脚にバランスよく荷重し、安定した滑りを意識する
・急斜面でもう無理!と思ったら横滑りでズルズル降りてこよう