元スキーインストラクターがイラストを用いてスキーヤーに必須のスキル「走り」「切れ」について解説していきます。
皆さんも経験あると思いますが、スキーをしているとさまざまな専門用語が出てきますよね。「ポジション」や「前傾」、難しいところだと「アンギュレーション」などなど…。特にスキー教室に通うと、こういった用語が飛び交ってめちゃくちゃ混乱します。
今回は初心者スキーヤーでも分かるよう、イラストを交えながら「キレ」や「走り」について解説して参ります。それでは入門編、スタートです。
目次
スキーの「走り」とは?
まずは簡単に定義を確認しておきましょう。「走り」とは、スキーに圧を加えたときに得られる「推進力」のことです。通称「たわみ」と言われるスキーを押したときの圧力、これを活かして前に進む力に変えていくことを指します。
ちなみに、スキーを押すことを加重と呼びますので覚えておいてください。
『ちょっと待て、そもそもたわみって何なん?』という方はまずは「スキーの「たわみ」とは何なのか?初心者向け徹底解説【入門編】」をご覧ください!
スキーコースの両端にトランポリンがあって、ターンのたびにこれを押すことでスピードアップしながらバインバイン進んでいくイメージです。上級者以上がマスターしている「上手く圧を使うスキル」を身につけるということはつまり、「ブースターを足に装着したパワーアップした無敵状態でどんどん進んでいくことができる」ことと同義だと考えてください。
なお、スキー業界で「切れ」と言われているものも、意味は走りと同様です。
まあ、つまり「スキーの走り」が出来るかどうかは「圧をうまく使えているか」を意味しています。
そしてこれは、初心者・中級者と上級者の分かれ道と言っても過言ではありませんね。
スキーの走りを引き出す方法
スキーに重さを乗っける(=加重する)ということは、つまり自分の体重を効率よく、そして全力でスキー板に乗せていくということ。重さを乗せれば乗せるほど、跳ね返ってくる力も大きくなります。
さて、体重をかけることは分かったと思いますので、次はそれをどう「走り」に繋げて行くのか、その具体的な方法を見ていきましょう!「走り」を引き出すコツは以下の2点です!
①ターン中にスキー板に対して垂直に、真上から踏み込むこと(力の溜め)
②ターン終わりで力を解放すること(力の解放)
STEP1 ポジションの確認
まずは全スキーヤーにとってお馴染みの「ポジション」を確認しましょう!
正しいポジションじゃないと正しく走らせることができないので、まずは深呼吸してから平地で自分の姿勢を要チェック!ポイントは「スネの角度と背中の角度は平行」「頭とブーツの後ろを結んだラインが斜面に対して垂直」でした。もっと詳しく知りたいかたは「スキーの基本姿勢「ポジション」を徹底図解【最重要!必死で学べ】」をご参照ください。
滑っている間は常にこの姿勢をキープするように意識しましょう!
STEP2 ターン中にスキー板を踏み込む
ポジションが定まったら次はスキー板をたわませる工程です。
まず始めに確認しておきたいのがスキーにおける不文律!なんだかお判りでしょうか?そう、「外脚荷重」ですね!基本的にはターンの外側になる方の足に体重をかけるように意識しましょう。つまり、ターンの外側にある脚(=外脚)のたわみ量は大きくなり、内脚のたわみ量は小さくなります。
ここからは、あなたも滑っているイメージをしながら一緒に見て行きましょう。
基本的には、正しいポジションのままスキーに対して真上から体重を乗せていきます。ターンに入った段階から少しずつ外側の足を伸ばしていきます。グーッと伸ばしていき、ターンマックス(ターンの一番外側)で一番脚が伸びているようなイメージです。
細かいことを言うと、ターンの序盤では「つま先」、中盤では「足全体」、終盤では「かかと」に荷重するように意識します。ターンのどの辺りかによって踏み込むパーツが変わるんですね!
踏み込むときの足裏の荷重点移動まで正確にできるようになるまでは相当な時間がかかりますので、まずは足裏の意識だけ持っておいてください。
この時に注意点が1つあります。それは、スキー板ができるだけずれないように!スキーのエッジを雪に食い込ませる「キレのあるターン」で滑ることでしっかりした足場が出来るので踏み込みやすくなります。
ターン中の注意点
・外脚荷重は鉄板
・ズレズレターンでは圧が生まれない!エッジを立てよう
正しく正確に踏み込むことで効率的に板をたわませましょう。
STEP3 溜めた圧を解放する
このステップでついに「走り」が生まれます。圧を溜めたら解放する、この連続した動作によってスキーがギュンギュン進む上級者の滑りを体感できるはずです。
ターンの終盤はかかと寄りに荷重するので、ターン終了後体重はやや後ろ寄りにある状態になります。このままでも板は走ります!ちゃんと圧がかかっていれば、ですが。体重が後ろ寄りなので後傾になりすぎないように気を付けましょう。
大事なのは、ターン終わりにポジションはそのままで少しだけ足首を緩める意識を持つこと。後傾にならずスムーズに圧を解放できますよ!スキー場で周りを見ているとターン終わりで上に伸びあがってしまう方が多いです。でもこれだと上に圧が抜けてしまって推進力に変換できないんです。あくまでもポジションはそのまま維持!足元で操作する感覚を大事にしましょう。
注意点
・前後のポジション移動(足裏感覚の意識)に気を取られすぎて後傾になったらダメ
・×ターン終わりに上に伸びあがって圧を解放 ◎ポジションはそのままで足元を緩める意識
あとは、スキー板を押す力の強さで跳ね返ってくる力も変わってきますので、違う強さで荷重したり、色々試してみてください!
まとめ
圧を溜めて解放するスキルは上級スキーヤーへの第一歩です。「ポジションの意識」「ターン中にじんわり押す」「圧を開放する」この3つのポイントを意識して練習してみてください!圧をコントロールして自在に走らせていく滑りをマスターしましょう!