この記事では、初心者スキーヤーがコースを間違って急斜面に迷い込んだ時の対処法を解説しています。
スキーに行った時って事前にちらっとコースマップを見るものの、気づいたら今どこを滑っているかわからない時ってありますよね。
「リフトを乗り継いで頂上まで来たけど上級コースしかないじゃん!」とか、「やば!初心者向けのコース閉鎖されてるから急なコースしかないじゃん!」みなたいなシチュエーションって割とあるあるです。
こんな状況に陥った時あなたならどうしますか?レスキューに連絡して救出を待つのもカッコ悪いし自力で降りるしかない…となっても足は震えて止まらないし…。
そんなときの攻略法を、スキー検定1級で元インストラクターとしてバイトをしていた筆者がお伝えします。
今回紹介するのは、あくまでも生きて急斜面から帰還するための滑り方です。初心者が急斜面に出会った時の攻略法は1つです。
目次
スキーにおける急斜面の定義から
スキー場の上級コースと言ったらだいたい「30°」以上です。対して初級者コースは「15°」くらい。つまり、普段滑っている2倍以上も斜度があるコースが上級コースということです。超、急ですよね!
さらに、スキー場のコースというのは実際に滑っている感覚と、上から見た感じの斜度はまったく違います。
初心者スキーヤーが上級コースを上から見ると本当に真っ逆さまな断崖絶壁!控えめに言ってもめちゃめちゃ怖いです。一度転んだら下まで真っ逆さまに落ちていくんじゃないかってくらい急に見えるんです。ですので斜面を見た時の怖さから気後れしがちですが、とにかく安全に降りることが大事です。
では、どうすれば初心者でも安全に降りていけるでしょう?滑り方とポイントを解説していきます。
スキー初心者が急斜面に出会った時の「対処法」
初心者にとっての選択肢は1つ、「横滑り」です!
横滑りを簡単に言うと、スキー板を斜面に対し垂直にした状態で斜面をずるずると降りていく滑り方です。少しカッコ悪いですが安全に滑り降りるにはもってこいの方法です。
20-21シーズンまではスキー検定1級の正式種目であった、正真正銘、立派なスキーテクニックの1つです。なにより、しゃがみこんでソリみたいにお尻で滑り降りていくよりかは全然良いですよね!
それではさっそく滑り方を見てみましょう!
横滑り① スキーを横に向けて立つ
まずは目の前に急斜面がある状況で、スキー板を斜面に対して真横にして立ちましょう。
注意すべきは「真」横にすることです。つまり、斜面に対して垂直=90°にしてください。少しでも90°から外れるとスキー板の下がっている方向に滑って行ってしまいますので注意が必要です。
そして、正しい横滑り姿勢と呼ばれているのが、肩と腰を平行にした姿勢で目線は下方向。この姿勢を意識してみてください!
もう1つ、スキーのエッジをがっつり雪面に食い込ませましょう。エッジというのは、スキー板裏面を見るとわかるのですが、両方の側面についている金属の部分です。ここが雪面に食いついて滑らないようにグリップしてくれるので、がっつり!雪面に食いこませます。「どうやって食い込ませるの?」と思ったあなた!簡単です。地面(平地)に対して水平にして立てば自然と食い込みます。
横滑り② 足首をゆるめる
立った状態から安全に滑り降りるためには、足首の角度を少しずつ緩めます。
平地に対してスキー板が平行の状態から、少しずつ角度を緩めるとズズズーっとゆっくり下方向に落ちていけます。これが「ずらし」と言われるスキーテクニックになるのですが、将来的に長くスキーを続けていくうえで必須のスキルです。ぜひ覚えておいてくださいね!
この時も気を付けることは、斜面に対してスキー板を垂直方向に維持することです。この角度を維持しないと前後に移動してしまい予期せぬ転倒に繋がってしまいます。
少しずつずるずると落ちていけば最下部まで滑って行けるので、ちょっとずつスキー板の角度を緩めながら急斜面を乗り切りましょう。
初心者が急斜面で横滑りをするときのコツ
横滑りにはいくつか気を付けるべきポイントがあるのでここも押さえておきましょう。
2つのポイントを意識することで、より速く・正確に横滑りをすることができます。また、将来的に全滑りに共通する「ポジション」や「ずらし」というスキースキルを身に着けることができます。
ポジションは正確に
スキーにおいて「ポジション」は最重要テクニックです。
スキー板に対して垂直に立つことを意識しましょう。もっというと、まっすぐ立った状態から足首・ひざ・腰を少し曲げて、「頭の後ろと足首を結んだラインがスキー板に垂直」になる姿勢が正しいポジションと呼ばれています。
スキーをしていく上では永久にこのポジションを維持していかないといけませんので、初心者の方こそ徹底的に「ポジション」を意識してください。滑って行く中での安定感が圧倒的に変わってきますよ!
「ポジション」に関してもっと詳しく知りたい方はスキーの基本姿勢「ポジション」を徹底図解【最重要!必死で学べ】で解説しています。
転ぶときは上側に転ぼう
足元が安定しなくて転びそうになってしまった時は、斜面の上側に転びましょう。とはいえ横滑りの場合は普通に転んでも自然と上側に倒れるのでそこまで意識しなくても大丈夫だとは思います。
横滑りのポジションからなら、転んでも足場が安定しているのですっと立ち上がることができるはずです。転んだまま雪面に両足のエッジを食い込ませてから手を突いて立ち上がれば簡単に起き上がれます。
ただ、逆側の下方向に転んでしまうと再度立ち上がるのが非常に大変ですので気を付けてください。
それでも急斜面が降りれないという方は…
初めてスキーを履くような初心者の方は「横滑り」すらも怖いかもしれません。というよりも足の力の入れ方が分からず、上手く横滑りできないことも多々あると思います。そんな時には最後の手段があります。
横滑りのポジションのまま、斜面上部方向にペタッとお尻を下ろすように座ってください。そして、スキーのエッジを立てて座った状態のままズリズリと斜面の下方向にまっすぐ降りていきましょう。横滑りでも解説しましたが、エッジが立っていれば基本的に急斜面をハイスピードで滑落していくことはなく、ある程度コントロールが効きます。
「周りには上手い人ばかりなのに、ひとりだけ座ったままなんてカッコ悪いなー」と思うかもしれませんが、スキー初心者の方は、なによりも安全に斜面を降りきることが重要です。無理せず慌てず安全に急斜面を抜け出すことを何よりも優先するようにしてください!
まとめ
初心者が急斜面を安全に滑り降りる必須スキルが「横滑り」です。横滑りを覚えることで、どんな斜面でも恐れずに降りることができるのでぜひ覚えてくださいね!横滑りの状態で、スピード・方向など自由自在に滑れるようになれば上級スキーヤーへの第一歩です。頑張って練習していきましょう!