今回はスキー検定1級講座です。種目は不整地。
この種目、苦手としている方は多いのではないでしょうか?実は僕も不整地のせいでなかなか1級に受からずに悩んでいた時期がありました。どれだけ練習しても、体がついていかないし、足がばたつくし、転びそうで怖い…。そんな気持ち、めちゃめちゃ分かります!僕も不整地だけは、何年かかっても滑れる気がしませんでした。この記事を読んでいるということは、あなたもきっと不整地がうまく滑れず困っていることでしょう。
そもそも、不整地は1級から出てくるので多くの方が初めてチャレンジする種目だと思います。なので苦手で当然。ただ不整地は、得意な人と苦手な人にハッキリ分かれるジャンルでもあります。整地はめちゃめちゃ上手いのに不整地は全然…というスキーヤーも多いです。ですので今回は主に苦手な人に向けての記事となります。もちろん、基本的なことをおさらいしたい!という方にもおすすめです。
不整地が苦手でも、上手く、そして安全に上達していくコツをお伝えしていきます!さっそく見ていきましょう!
目次
確実に押さえたい!コブ斜面を滑るうえでの心構え
まず初めに、コブで必ず意識したいポイントをまとめました。まずは、不整地を滑る上で絶対に意識しなければならない5つのポイント、最重要事項を解説していきます。
心構え0. スキーは自動で動くものと考えるべし
まず前提として覚えておいてほしいのは、スキー板はコブの形状に合わせて自動で動く、ということ。放っておけば自動でターンしますし下に降りていきます。つまり小回りのように自分で動かしていくスキルは不要だと思ってもらって構いません。
どうですか?簡単そうじゃないですか?
そう、不整地は難しくないんです!ただしこれは、体の向きが適切だったら、の話です。では適切とはどういうことでしょうか?それは、体の正面がしっかりと落下方向を向いていればスキーが自動で動いてくれます。心構え1以降では、体を正面に向けておくためのポイントを解説していきます!
心構え1. ストックをしっかり突くべし
個人的に思う、コブの最重要ポイントがこれです。
コブの失敗の多くは「怖さ」や「不慣れ」から来る体の遅れが原因であると思ってください。ゲレンデを観察してみると、不整地ではどんなスキーヤーもコブの頂点にストックをグサグサ突きながら滑っているのがわかると思います。次に越えるコブにしっかりとストックを刺す、左右ともにこの意識を持つと体の遅れを抑止をすることができます。
心構え2. 手を体の前に早く出す=体の向きを正面に保持するべし
ストックを持った両手をできるだけ自分の体が落ちていく方向(真下方向・フォールライン方向と言います)に出し続けてください。両手を常にフォールライン側に出しておく、とも言い換えられます。
ちょっと分かりにくい…という方。コブを超えた瞬間に次のコブに突くストックを素早く前に出す!手を前にパンチ!そんなイメージです。
そうすると体も連動してフォールライン方向に向け続けることができます。体の向きを変えるというのは普段意識しない動きなので、普段から動かし慣れている手を使って体の向きをコントロールするというのがポイントです。
これを意識すると、コブに吹っ飛ばされてレーンの外に飛び出す失敗を防ぐことができます。
検定ではレーンの外に出てしまうと減点されるので「手を素早く前に出す」ことも最重要ポイントのひとつです。
心構え3. 目線は2コブ先を追うべし
スキーでは初心者ほど足元が気になるものです。
どうしても足を見てしまいますよね。初心者のうちは、自分が正しく動けているかを把握するためにも足元を見る必要があるので、しょうがないです。
ただ、コブで足元を見ると「意識」がほんの少し遅れてしまうんです。そうすると次のコブへの対応が少しずつ遅れて最後は破綻する…そんなケースが多くあります。
滑らかな動きで滑りきるためにも少しだけ前を向くようにしてください。2個先のコブを見ると良いです。ぜひとも意識したい項目ですね!
心構え4. 足を揃えるべし
怖い怖い!と思うほど両足の間隔は離れていきます。なぜなら、足の間隔が離れるほど安定する気がするから。僕もよくコブの中で足が離れていってしまう癖がありました。
整地ではスキーとスキーの感覚を適度にあけるのが「当たり前」なのですが、不整地では逆に不安定になるので気をつけてください。
どういうことか?コブのような不安定な場面で足が離れていると、両足が別々の動きをしてしまいます。結果、両足がバラバラに動き滑りが崩れてしまうんですね。
不整地ではとにかく両足をそろえて滑る意識を持ってください。
スキー不整地のメカニズム
一度立ち止まって整理してみましょう。先ほど、体が前を向いていたらスキーは自走します!とお話ししましたが、これってどういう仕組みなのでしょうか?なぜスキーは右に左にクネクネと動いてくれるのでしょうか?
答えは上半身と下半身の「ねじれ」です。コブを足場に、スキーを横に並べて立つと下半身は横を向いています。一方で上半身はフォールラインを向いています。ここにねじれが発生しています。この体のねじれを開放して元に戻そうとする力でスキー板が回転するわけです。細長いプラスチックの板をねじって手を離すと元に戻ろうとするのと同じです。
つまり、ねじれを作ればスキーは自動で動きます。だからこそ、体はフォールラインに向けていないといけないわけなんです。
コブを苦手とするスキーヤーは何が苦手か?
さてここで、コブに対する苦手意識はどこからくるか考えてみましょう!あなたが、なぜコブを滑りたくないか考えてみてください。
おそらく、多くのスキーヤーは「怖いから苦手」なんだと思います。一度コブ斜面に入ってみたけど滑り方もわかんない、めちゃくちゃ転ぶ!痛い!!という感じで苦手意識が増幅されていくのだと思います。事実、僕がそうです。何回アバラを打って息ができなくなったか数えきれません…。
では、スピードをコントロールできたらどうでしょうか。怖さが半減しますよね?ということで、不整地のコツは、スピードをいかに制御できるかにかかっているといっても過言ではありません。
コブを直線的に滑ってしまうとコントロールが効かなくなります。逆に、左右に行き来しながらゆったり滑ることができたら恐怖心は薄れていきます。
ではここから、スピードをコントロールしながらステップアップするための実践的な滑り方を学んでいきましょう!
不整地の実践的なステップアップ講座
実践編では、スピードを制御しながら安全に滑ることから始めます。その中で少しずつターンとターンを滑らかに繋ぎ、合格レベルの滑りに近づけていきましょう!
ズルドンで滑る
よくスキー検定1級チャレンジャーに推奨される滑り方「ズルドン」はご存知でしょうか?
合格指南系の本やサイトでよく見かける滑り方です。
まずコブ斜面に立ったらコブの裏側をエッジでズルズル削り取っていきます。これにより摩擦が生まれスキーのスピードが遅くなります。ポイントとしては、足首とひざ、股関節を適度に曲げながら真下方向に降りることを心がけてください。
そして、少しかかと寄りに重さをかけてみましょう。スキーのエッジがスムーズに動くはずです。
スキーがコブに当たったタイミングでストックをコブの上に突きます。そして少しフッと上方向に力を抜きましょう。膝を曲げた状態から上にグッと立ち上がるイメージです。
そのままクルッと方向転換したら逆サイドを向きながらズルズル滑ります。同時に膝をグーッと曲げていきましょう。
膝の動きで言えば、曲げる(ズルズル)→立ち上がる(コブに当たった時)→曲げる(ズルズル)の連続です。
エッジを立てることでスピードが抑えられ、安全に降りていくことができます。コブ初心者はマストで押さえておきたい滑り方なので、まずはズルドンからスタートしましょう。浅めのコブで練習すると良いですね。
ただし、1つだけ問題があります。ズルドンは初心者向けの滑り方であり、基礎であると紹介しましたが、検定でも使える滑り方です。ただ正直、加点が狙いにくい滑り方でもあります。というのも、スピード感が出にくいんですよね。スムーズにターンを繋ぐことができていれば合格点は出ますが、ぎこちない滑りのままでは1点ほど減点されてしまうでしょう。
ズルドンからステップアップする練習方法
さて、ここからはズルドンから進化していく練習です。
ズルズル〜…ズルズル〜…とスピード感に欠ける滑りから滑らかな滑りに移行していきます!
外から外へ横滑り
コブの裏面で真下方向にズルズル横滑りをするのが、ズルドンと言われる滑り方でした。ズルズル…ドン、ズルズル…ドン。と、どちらかというとぶつ切りな印象を与える滑り方です。
ここからどう進化させるか?答えは、斜め方向への横滑りに移行させるんです!
真下ではなく、斜めにズルズルさせます。コブにドンッと当たって方向転換したらレーンの外側方向に向けて滑るイメージですね。スキーのテール方向(斜め下方向)に雪を削ることでスピードをコントロールします。少しかかと寄りに重心を乗せると斜め後ろへ横滑りすることができますよ。
コブの切り返しで曲げ荷重
もう1つポイントがあります。それは、曲げ荷重を意識すること。
ズルドンでは、立ち上がりながら方向転換していましたよね。次のステップでは逆に、コブに当たったタイミングで膝をグッと曲げながら方向転換してみましょう!
膝を曲げる事で、コブで受けた衝撃を吸収することができます。つまり、コブにドンっと当たっても飛ばされずに次のターンへ繋げていくことができるんです。
斜面にスキー板をビタっとくっつける
コブの裏では、スキーをバターナイフのようにして斜面を撫でながら外へ外へと滑る。コブが来たら膝を曲げて吸収しながら次のターンへと繋げていく。これを繰り返すと、スムーズなターンが描けるようになって来ます。
意識としては、スキー板をずっとコブ斜面にビタっと貼り付けておく感じですね。コブを越えるときも、こぶの裏側を削るときも、まるで雪面と一体化しているように、とにかく滑らかに滑り降りるイメージを持ってください!「心構え1」で触れた「ストックを前に出す」意識もお忘れなく。
それでもうまくコブを滑れない方へ
ここまでのステップを何度も何度も繰り返していくうちに、少しずつテンポや足の使い方が分かってくるはずです。
でも、どうしても思うようにいかない!という方もいるはず。特にゲレンデにあるコブ斜面がガチガチに凍っていたり、スキー板が合っていなかったりと、知らず知らずのうちに初心者には難しいコンディションで戦っているケースも多いです。
そこで、最後に練習に最適なゲレンデコンディションなどについて見ていきましょう!
浅いコブと柔らかいコブは絶好のコンディション!
練習しやすいコブとはなにか?それは、浅いコブです。
掘られていない出来立てのコブはとても滑りやすいのです!スキー場によっては深いコブの横に浅くラインが入ったコブがあります。そんな時はチャンス!迷わず飛び込んでみましょう。浅いコブは正直「なんとなく」で滑れます。あえて、体を正面に、ストックを突いて、先を見て、足を揃えて滑ってみてください。基本に忠実に滑ることで、基本となる動きや感覚を養うことができます。
そして、春スキーや、気温が高く天気の良い日に現れる「柔らかいコブ」も見逃せません。少しべちゃっとした雪だと自然にスピードが落ちるので、コブを苦手としているスキーヤーや初心者に向いているんです。ズルドンやその応用の練習にも最適です。
柔らかいスキー板を履いてみよう
道具によっても滑走のしやすさは大きく変わってきます。
僕はずっと硬いスキー板が好きで、コブの中でも変わらず硬い板を使っていました。でも全然上達しないしコブに弾かれて飛ばされるし…。どうしたらいいんだろ…と思っていた時にレンタルで借りたペラペラの板に乗ってみたんです。
そうしたら、前とは打って変わって滑りやすい!コブのラインにビタビタと板が吸い付いていくようでスイスイ滑れる。もう、ほんとにコブが楽しくて仕方なくなりました。
不整地で悩んでいる方はスキー板の硬さを少し変えてみるのも手かと思います。実践で滑るイメージが掴めれば上達は格段に早くなります。なので、道具を見直すことも大事ですよ!
最後に
ここまで読んでいただきありがとうございました!
真っ先に意識とすることとしては、こぶを突くこと・手をフォールライン方向に素早く出すこと・目線を先に置くこと・足を揃えることです。これらが出来ればスキーは自動で動きます。
でもそれだけではなく、スピードコントロールも必要です。練習方法としては、真下への横滑り(ズルドン)から、外方向への横滑りに変えていく。そして膝の使い方を覚える。この辺りを一歩一歩丁寧に練習して修得していきましょう。
まずは浅めのコブで実際に滑ってみてください。きっと繰り返していくうちに自然と体が動くようになるはずです。
スキー検定1級は上級者の証明です。一度取得すれば永遠にスキー界に刻まれる証明書なんです。そして1級においては不整地こそ合格の鍵です!とにかく滑り込みましょう。そして合格を勝ち取ってください!