よく聞くけど「クロスカントリー」って何なの?どういうスポーツ?魅力は?
元スキーインストラクターがクロスカントリースキーに関するさまざまな疑問にお答えいたします。
いきなりですが、一口に「スキー」と言ってもさまざまな種類があります。
ノルディック・アルペン・クロスカントリー、基礎…めちゃめちゃややこしいですよね?
お恥ずかしい話、10年以上スキーをやっている僕でさえ、自分がやっているスキーの種目以外に関しては「何が何だかよくわかんねーよ!種類ありすぎ!」と混乱することがよくあります。
スキーの種類に関してはこちらで体系化してまとめていますのでお暇な方はご覧ください。
【完全版】スキーの種類 [競技・基礎・アルペン・クロスカントリーなど]まとめ
今回はその中の「クロスカントリースキー」について詳しくご紹介いたします。クロスカントリーの位置づけ・特徴・メリット・体験できるスキー場などをまとめました。
目次
クロスカントリースキーとは?ノルディックと違う?
クロスカントリーの基礎知識
まず最初に、『クロスカントリーってなによ?』というところから。通称「クロカン」とも呼ばれますが英語で書くと
Cross+Country:国(国境)を超える
つまり、「とてつもなく長~い距離をスキーを履いたまま滑ったり歩いたりして、国境を越えるくらい遠くまで行く」というニュアンスです。ちなみにクロスカントリースキーの滑走イメージはこんな感じ。
そもそも、スキーは雪の上を歩くための「移動手段」として発達してきた歴史があります。50cmとか1mとか雪が降り積もる地域を想像してみてください。雪が降ろうがなんだろうが生活するためにはお店(例えばです)まで移動する必要がある。
「もふもふの雪をかき分けて進むのがしんどい⇒雪の上を歩ければ楽なのにな~⇒雪の上を進める道具つくろ⇒スキー誕生♪」
という感じで、生活の術としてスキーは誕生しました。そういう意味で、「長距離移動」を主眼に置くクロスカントリーは、スキー競技の中では一番「生活」の延長線上にある競技と言えます。長距離を滑って(歩いて)行く問う意味で、陸上で言えば「駅伝」みたいなイメージです。
距離が長いのが特徴で、大会ともなると、男子で4kmから12kmにも及びます。
どんな起伏もリフトを使わず脚力だけで進んでいく…なんてストイックなスポーツなのでしょう。
ノルディックとの違い
『じゃあ「ノルディック」とは違うの?同じような意味で使われてる気がするけど…』という意見をよく聞きますが、ノルディックはクロスカントリーが属している大きなジャンルと覚えてください。
競技スキーは、速さを競う「アルペン」と距離を競う「ノルディック」に分かれています。ノルディックは北欧地域(=比較的平坦な地域)で発達してきた種目・アルペンはアルプス地方(=山がちな地形)で発達してきた種目です。なので平地を進むか、山を滑走して下るかの違いが出てきています。
ノルディックがさらに「クロスカントリー」や「スキージャンプ」などに枝分かれしていくイメージです。
ルールによる違い
クロスカントリーの中でも種類があり、競技ルールによる分け方だと「クラシカル走法」と「フリー走法」が存在します。
その名の通り伝統的な滑走スタイルのみで競うのがクラシカル走法で、現代的な滑走スタイルも認められているのがフリー走法。
具体的には、スケーティングの有り無しで変わってきます。クラシカルは「ひたすら歩く」。フリー走行は「スケーティングメインで進む」です。
ちなみにクラシカルスタイルでもっとも特徴的なのは、2本の平行な溝、シュプールの中でスキーを前後に動かして滑って行く「引かれたレールの上を進む」的なルールがあることですね。
クロスカントリースキーに使う用具の特徴
クロスカントリーに使う用具も、アルペンとは異なり「雪の上を歩いて進むのに適した構造」になっています。つまり、軽くて動きやすいです。ただでさえしんどい競技なので、できる限り道具で負担を軽減しているわけですね。
- スキー板:細くて長くて軽いのが特徴。長さは身長+20cmくらい
- ストック:長いのが特徴で身長×0.9くらい。ストックで漕いだ時に進む距離が長い
- ビンディング:つま先のみ固定しているのでかかとを上げて歩ける
- ブーツ:柔らかく足にフィットするのが特徴。日常生活で履くショートブーツみたいな形状
クロスカントリースキーのメリット
場所は限られますが、日本にはクロスカントリー専用のコースがあるスキー場って実は結構あるんです。そういったコースを使えば、今までやったことがなくても手軽にクロカンを体験することができます。
そしてクロカンにはメリットもたくさんありますよ!
自然豊かな環境を楽しめる
スノーシューにも通じるところがあるのですが、スキー場にあるクロカンコースって、通常の横幅があるゲレンデと違って「小路」のようなコースが多いです。言い換えると林間コースみたいな。
なので、大勢のスキーヤーやスノーボーダーでごった返しているゲレンデで人を掻き分けながら無理やり滑って行くこともないです。この、ゆったり木々の間を縫って進んでいく感覚は通常のゲレンデではなかなか味わえないです。
自然に触れるという意味で、お子様にも自然体験学習のような効果が期待できるはず!
ダイエット効果がある
シンプルにしんどいから痩せる!実はスキーの消費カロリーって意外と多いんです。
スキーにはさまざまな種類がありますが、例えば通常のゲレンデで斜面を楽に下る場合60分間60kgの人で、約271kcalを消費します。スピードを出してハードに滑る場合は約334kcal。
対して、クロスカントリーでそこそこの速さ(時速7~8km)で走った場合は567kcalも消費します。時速4kmのゆったりペースだとしても428kcal。
ちなみに時速4kmで60分ウォーキングした場合は189kcal消費なので、いかにカロリー消費量が多いかお分かりいただけると思います。痩せたい方はクロカンがおすすめです。
ここら辺の数値は国立健康栄養研究所の「身体活動のメッツ表」から計算することができるので気になる方は検索してみてください。
クロスカントリーを体験できるスキー場
初心者の方は林間コースの中にアップダウンがあるようなスキー場から始めるのがおすすめ。長野県の白樺国際スキー場では全長5kmの「クロカン&チャレンジコース」があるので、クロスカントリーの雰囲気を味わえるはず。
本格的な専用板をレンタルしてやってみたい!という方は「水上高原スキーリゾート」や「黒姫高原スキー場」で本格的なクロスカントリースキーができるのでチャレンジしてしてみてください。
詳細は「最新版!クロスカントリーを体験できるおすすめスキー場【厳選6選】」をご覧ください。
まとめ
自然に近く、消費カロリーが多いクロスカントリーはスキーの起源ともいえる競技スキーです。ランニングと同様に「しんどいけど達成感がある」ので、その魅力にはまるスキーヤーも多いです。首都圏近郊にもクロカン用のコースが設けられているゲレンデがあるので、興味のある方はぜひ一度体験してみてください。